アスパラギン酸の場合の問題点-04

 

平衡反応を用いた計算では,

\(\Large H^3 - K_2 K_3 \cdot H - 2 K_1 K_2 K_3 = 0 \)

となりました.

また,独立にそれぞれの基の解離を考える.場合ですと,

\(\Large \frac{1}{1+10^{pH-1.88}} = \frac{1}{1+10^{3.65-pH}} + \frac{1}{1+10^{9.6-pH}} \)

となりました.

この二つの式は同一なのでしょうか?

独立にそれぞれの基の解離を考える.場合を変形していきましょう.

\(\Large pK = log \frac{1}{K} = - log K \)

ですので,

\(\Large \frac{1}{1+10^{pH-pK}} = \frac{1}{1+\frac{10^{pH}}{10^{pK}}} = \frac{1}{1+\frac{K}{H}} = \frac{1}{ \frac{H+K}{H}} = \frac{H}{H+K} \)

\(\Large \frac{1}{1+10^{pK-pH}} = \frac{1}{1+\frac{10^{pK}}{10^{pH}}} = \frac{1}{1+\frac{H}{K}} = \frac{1}{ \frac{H+K}{K}} = \frac{K}{H+K} \)

と書き換えることができますので,

\(\Large \frac{1}{1+10^{pH-1.88}} = \frac{1}{1+10^{3.65-pH}} + \frac{1}{1+10^{9.6-pH}} \)

この式は,

\(\Large \frac{H}{H+K_1} - \frac{K_2}{H+K_2} - \frac{K_3}{H+K_3} = 0\)

となります.変形すると,

\(\Large H (H+K_2)(H+K_3)-K_2 (H+K_1)(H+K_3)-K_3 (H+K_1)(H+K_2) = 0 \)

となります.Hの項をまとめると,

\(\Large H^3 : 1 \)

\(\Large H^2 : K_2 + K_3 - K_2 -K_3 = 0 \)\

\(\Large H^1 : K_2 \cdot K_3 - K_2 (K_1 + K_3) - K_3 (K_1 + K_2) = - K_1 K_2 -K_1 K_3 -K_2 K_3 \)

\(\Large H^0 : - K_1 K_2 K_3 -K_1 K_2 K_3 = -2 K_1 K_2 K_3 \)

と言うことで,まとめると,

\(\Large H^3 - (K_1 K_2 + K_1 K_3 + K_2 K_3) H-2 K_1 K_2 K_3 =0 \)

とHの項が平衡反応を用いた計算と微妙に違います....

\(\Large pK_3 = 9.6 \)

ですので,

\(\Large K_3 = 10^{- pK_3} = 9.6 = 2.51 \times 10^{-10} \approx 0 \)

となり,二つの式の余分な項はほとんど0となるので計算結果は同じになるのですが.....

 

一つの可能性は...平衡反応を用いた計算では,

\(\Large pK_1 < pK_2 < pK_3 \)

つまり,

\(\Large K_1 > K_2 > K_3 \)

というように三つの平衡定数の上下関係を規定していましたが,独立にそれぞれの基の解離を考える.場合には上下関係を考慮していない(=どんな場合でも成り立つ)からなのかもしれません.

となると,独立にそれぞれの基の解離を考える.場合の式が正しい式なのかもしれません.

どなたかわかる方がおりましたら教えてください.

 

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